PR

退職手続き完全マニュアル|有給消化トラブル・生活不安対策・失業保険・健康保険切替・年金まで一気解決

記事内に広告が含まれています。
  1. はじめに
  2. 退職を考えたとき、まず整理したいこと
    1. 退職を考えるきっかけ
    2. 退職理由を整理する
  3. 退職の流れ
  4. 退職の法的ルールと注意点
  5. 退職ルールと円満退職のコツ(雇用形態別)
    1. 正社員の退職ルールとポイント  
    2. 契約社員・派遣社員の退職ルールとポイント  
    3. パート・アルバイトの退職ルールとポイント  
  6. 引き継ぎ書の詳細例
    1. 退職直前でも「有給消化」は堂々と主張!
    2. 💡トラブル時の相談先
    3. 有給消化を拒否された場合の対応:
    4. 退職トラブル 損害賠償請求
      1. 退職の効力発生前の職務放棄
      2. 会社への重大な損害
      3. 競業避止義務違反
  7. 退職理由の伝え方
  8. 退職後の手続きと生活不安への備え
    1. 退職後の健康保険選び 
      1. 転職先の健康保険に加入する場合
      2.   家族の健康保険の被扶養者になる場合
      3. 被扶養者判定チャート
      4. 任意継続被保険者制度
      5. 国民健康保険制度
  9. 健康保険の選び方ポイント
  10. 退職後の年金切り替え手続き(59歳までの方)
    1. 年金切り替えの必要書類
    2. 配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者)
  11. 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
    1. 保険料免除制度
    2. 納付猶予制度
    3. 申請方法 
    4. 年金の免除猶予制度利用中の注意点
  12. 年金の切替・扶養
  13. 失業保険の手続き(2025年4月以降対応版)
    1. 【STEP1】必要書類の準備と受け取り
    2. 【STEP2】ハローワークで求職申込み&手続き
    3. 【STEP3】雇用保険受給者説明会への参加
    4. 給付制限のタイムラインと判断フロー(2025年4月以降)
    5. 【STEP5】就職活動をする
    6. 【STEP6】失業認定日にハローワークへ
  14. 年収ダウン・再就職リスクへの備え
  15. 在職中の転職活動・スキルアップのすすめ
  16. 職業訓練の受講について
    1. 職業訓練の主なメリット
  17. まとめ

はじめに

退職や転職を考えるとき、多くの人がこんな悩みを抱えます。

  • 退職した後のお金は大丈夫?
  • 保険や年金、何をどう手続きすればいいの?
  • 有給は全部取れるの?
  • 引き継ぎってどうすれば揉めないの?

本記事では、退職を検討し始めてから、手続き・生活の備え・再スタートまでを網羅。
不安を手放せる情報を丁寧に解説します。

退職を考えたとき、まず整理したいこと

退職を考えるきっかけ

  • 仕事内容や評価への不満
  • キャリアの将来像への不安
  • 家庭や健康の事情
  • 会社の業績や方針の変化
  • ワークライフバランスの見直し
  • ノルマやプレッシャーがきつい
  • 昇進や評価が不透明
  • 新しいスキルや業界で挑戦したい
  • 家族との時間を増やしたい
  • 体調やメンタルの問題
たむ仙人
たむ仙人

長年勤めた会社を辞めるのは、人生の大きな転機。不安を感じるのは当然です。

退職理由を整理する

「なぜ辞めたいのか」「何を変えたいのか」を紙に書き出してみると、頭の中が整理しやすくなります。  
それが本当に転職でしか解決できないことなのか、今の職場でも改善できることなのか、冷静に見つめ直すことが大切です。

「退職=逃げ」ではありません。より良い環境を選ぶのは前向きな選択です。

退職の流れ

退職を決意したら、以下の流れで手続きを進めていくとスムーズです。

  • 退職の意思決定と準備  
    退職理由とタイミングの整理、家族や信頼できる人への相談
  • 上司への退職意思の伝達  
    できれば1〜2ヶ月前、繁忙期はさらに早めが理想です
  • 退職届の提出  
    会社規定のフォーマットや提出先を確認します
  • 業務・顧客引き継ぎの計画と実施  
    担当顧客・案件リストの整理、引き継ぎ資料の作成
  • 有給休暇の消化・退職日調整  
    有給の残日数や取得可否を確認します
  • 退職後の各種手続きの準備  
    健康保険・年金・失業保険・税金など

【要確認】退職の法的ルールと就業規則の違い

  • 民法627条では「退職の2週間前に予告すればOK」
  • 就業規則では「1ヶ月前または2ヶ月前」と定める会社もあり
たむ仙人
たむ仙人

法的には2週間ルールが優先ですが、引き継ぎや人間関係を考えると早めの相談が良いでしょう。

退職の法的ルールと注意点

退職ルール比較表
雇用形態 法律上のルール 就業規則のルール 実務上のポイント
正社員(無期雇用) 民法627条により2週間前の申し出で退職可能 多くは「1ヶ月前」「2ヶ月前」など長めの申告期間あり 法的には2週間ルールが優先だが、円満退職や引き継ぎのため早めの相談が望ましい
契約社員 原則として契約期間満了まで勤務
やむを得ない事情で契約途中退職可能(民法628条)
5年超勤務で無期契約へ転換可能(無期転換ルール)
退職申し出は一般的に「1ヶ月前」程度がマナー 契約途中の自己都合退職は原則不可。特別な理由があれば証拠を準備し相談
契約更新や退職のタイミングを把握することが重要
派遣社員 契約期間満了まで勤務が原則
やむを得ない事情で途中退職可能(契約社員同様のルール適用)
派遣先・派遣元双方への連絡や調整が必要 契約内容や就業規則を確認し、理由がある場合は早めに双方に相談
パート・アルバイト 無期契約なら民法627条に基づく2週間前の申し出で退職可能
ほとんどは期間を決める有期契約で、契約期間中は原則勤務
契約書が交わされていない場合や、契約内容と実態が異なるケースもある
会社の規定に従うことが多い(契約書や就業規則で詳細規定) 契約書・就業規則の確認を必ずし、違和感があれば労働相談を利用
急な退職は避け、できるだけ早めの相談とシフト調整に協力すること

退職ルールと円満退職のコツ(雇用形態別)

正社員の退職ルールとポイント  

  • 退職の申し出から2週間後に退職可能(民法627条)  
  • 会社の就業規則では多くの場合、1ヶ月前の申し出を求めている
  • 早めに上司に相談し、引き継ぎをしっかりすることが円満退職の秘訣
  • 退職願は書面で出し、記録を残すのが安心 

説明

  • 正社員は契約期間のない「無期契約」です。
  • 法律では2週間で辞める権利がありますが、会社ルールで1ヶ月以上前に伝えるのが普通です。
  • 責任ある仕事が多いので、早めに相談し引き継ぎを残すとトラブルを避けやすいです。

契約社員・派遣社員の退職ルールとポイント  

  • 契約期間が決まっている「有期契約」が基本  
  • 契約途中で辞めるのは、労働者の病気や賃金未払いなど**特別な理由が必要**(民法628条)  
  • 契約終了時は、約**1ヶ月前の事前通知がマナー**  
  • 5年以上の契約更新を経ると、契約期間の定めがない「無期契約」に変えられる(無期転換ルール)  

説明

契約社員や派遣社員は期間限定の契約です。契約途中での自己都合退職は特別な事情がないと認められず、契約更新しない旨は1ヶ月前に伝えます。長期で更新を繰り返すと無期契約に切り替えられ、より安定した働き方ができます。

パート・アルバイトの退職ルールとポイント  

  • 多くは期間を区切った有期契約で、期間中の退職は難しい  
  • 5年以上同じ会社で働くと、労働者から申し出て「無期契約」に切り替え可能  
  • 無期契約に切り替われば、2週間前に伝えれば辞められるようになる
  • ただし、実態としては契約書を交わしていないケースや、契約内容と違う働き方をしているケースもある 
  • 急な退職は職場に迷惑をかけることが多いため、早めに相談し協力することが重要

説明

アルバイトも契約を結びますが、短期やシフト制のため、契約書自体が交わされていなかったり、契約内容と実際の勤務時間や日数が合わないこともあります。

このような実態と制度のズレから「契約を結んでいる実感が薄い」という違和感が生じています。

法律では契約書の交付は義務ですが、運用が追いついていない職場もあります。
労働者は契約内容を確認し、不明点は積極的に確認・相談しましょう。 

たむ仙人
たむ仙人

労働基準監督署への事前相談は、会社との交渉を有利に進めるうえで効果的です。会社は監督署による指導や調査を避けたい心理があり、相談だけで対応が改善されることも多いため、トラブル回避に役立ちます。

引き継ぎ書の詳細例

引き継ぎ書は、担当業務や顧客情報、進行中の案件、注意点、今後の対応方針まで具体的に記載することが大切です。

     業務引継ぎ記入シート      
    
業務引継ぎ記入シート
                                                                                                                                                                                                                                                                         
項目内容例
担当業務法人営業(新規開拓・既存顧客フォロー)、見積・受発注管理、展示会運営
顧客リスト           
                
  • 株式会社A(担当:田中様、TEL:03-XXXX-XXXX、重要顧客)
  •             
  • 株式会社B(担当:鈴木様、TEL:03-YYYY-YYYY)
  •           
        
案件進捗           
                
  • 株式会社A:新製品提案中(6/10最終提案予定)
  •             
  • 株式会社B:定期契約更新(7/1契約書締結予定)
  •           
        
注意点           
                
  • 株式会社Aは納期厳守が必須です
  •             
  • B社は価格交渉に時間がかかります
  •             
  • C社は担当者が6月に異動予定です
  •           
        
今後の対応           
                
  • A社:6/10提案後、見積提出・受注処理
  •             
  • B社:6月中に契約書ドラフト送付
  •             
  • C社:新担当者に挨拶予定
  •           
        
取引先挨拶6/15~6/20に主要顧客へ退職挨拶メール送付予定です
社内連絡先総務:山田(内線123)、経理:佐藤(内線124)
    
SAMPLE
  
たむ仙人
たむ仙人

「引き継ぎ書は“誰が見てもわかる”ように、業務の背景や注意点まで盛り込むのが理想です。後任やチームのためにも丁寧にまとめましょう。」

退職直前でも「有給消化」は堂々と主張!

  • 退職後は有給休暇の全消化が”法律で認められた権利”。退職日までに消化可能。
  • 会社側の「時季変更権」は無効。
  • 会社側の「繁忙期だから」「迷惑だからNG」は基本的に通用しません。有給休暇の消化は労働者の「権利」です。
  • 繁忙期でも「使うな」と言われたら、相談窓口を活用!

💡トラブル時の相談先

  • 人事部・労働組合
  • 社外なら「労働基準監督署」

有給消化を拒否された場合の対応:

  • 理由を確認し、日程調整を提案
  • 人事部や労働組合に相談
  • 労働基準監督署に相談
  • 退職代行会社に依頼
たむ仙人
たむ仙人

“有給は迷惑だから使うな”は通用しません。大切な権利ですので、堂々と主張しましょう。

退職トラブル 損害賠償請求

退職の効力発生前の職務放棄

  • 退職届を提出しても、退職日までは勤務義務があります。
  • この期間に無断欠勤や職務放棄をすると、会社に損害が生じる場合があり、損害賠償請求につながることがあります。
  • 特に業務に大きな支障が出た場合は、損害賠償請求の可能性が高くなります。

会社への重大な損害

  • 機密情報の漏洩や、意図的に業務を妨害するなど、会社に著しい損害を与えた場合は損害賠償請求の対象となります。
  • このような場合、損害賠償請求の可能性は非常に高くなります。

競業避止義務違反

  • 契約で競業避止義務が定められている場合、それに違反すると会社の利益を侵害したとして損害賠償請求を受けることがあります。
  • 損害賠償請求の可能性は高いですが、契約内容によって異なります。

退職理由の伝え方

退職届には「一身上の都合により退職致します」と記載すれば十分です。
上司への伝え方は、感謝の気持ち+前向きな理由(キャリアアップや新たな挑戦など)を意識しましょう。

なお、退職日を調整することが可能であれば、退職日を月末にするのか月末の1日前にするのかで社会保険料の支払いが変わります。
どちらがお得かどうかはケースバイケースです。詳しくはこちら

退職後の手続きと生活不安への備え

退職後は、健康保険の選択や収入の変化に伴い生活設計に不安を感じる方が多いです。
ここでは、退職後の健康保険の選択肢と、失業保険との関係を含めて、誰にでも分かりやすく具体的に説明します。

退職後の健康保険選び 

退職後は、健康保険の加入先を自分で選ぶ必要があります。主な選択肢は次の4つです。
それぞれの制度には特徴や注意点があり、ご自身の状況に合ったベストな選択をすることが大切です。

  • 転職先の健康保険に加入(転職が決まっている方向け)
  • 家族の健康保険の被扶養者になる
  • 任意継続被保険者制度を利用
  • 国民健康保険に加入

転職先の健康保険に加入する場合

転職により正社員や契約社員として働く場合、多くは新しい会社で健康保険(社会保険)の加入手続きが自動的に行われます。

退職前の保険証は速やかに返却し、新しい保険証が届くまで医療機関を利用する際は、「健康保険被保険者資格証明書」を会社に申請しておくと安心です。

注意点

  • 小規模事業所(従業員5人未満)や短時間勤務の場合は、健康保険の加入義務がないことがあります。  
  • その場合は、前職の健康保険に退職後も継続して加入する任意継続か、自分で市区町村役場で国民健康保険に加入が必要です。

  家族の健康保険の被扶養者になる場合

退職後の収入が少ない場合、配偶者や親の健康保険に扶養者として入ることが可能です。
健康保険の被扶養者になるためには下記の条件を満たす必要があります。

  • 年収見込みは130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)  
  • 扶養者の収入の半分未満  
  • 失業保険を申請している場合、待機期間(7日間)や給付制限期間(原則1か月)中は扶養に入れる可能性あり  
  • 受給開始後は、失業保険の基本手当日額が3,611円以下(60歳以上・障害者は5,000円以下)であれば扶養継続の例外あり
    組合によっては失業保険の申請時点で収入見込みと判断し、扶養から外されるケースもあるため、短期間での扶養入り・外れの手続きは家族に負担がかかることもあります。

被扶養者判定チャート

健康保険被扶養者 判定チャート

  
    
1. 年収見込みは130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)ですか?
    
      

はい → 次へ進む

      

いいえ → 被扶養者にはなれません

    
  
  
    
2. 扶養者の収入の半分未満の見込みですか?
    
      

はい → 次へ進む

      

いいえ → 被扶養者にはなれません

    
  
  
    
3. 失業保険を申請していますか?
    
      

はい → 次へ進む

      

いいえ → 被扶養者となれます

    
  
  
    
4. 現在、待機期間(7日間)または給付制限期間(原則1か月)中ですか?
    
      

はい → 被扶養者になれる可能性があります

      

いいえ(=給付開始後) → 次に進む

    
  
  
    
5. 失業保険基本手当日額が3,611円以下(60歳以上・障害者は5,000円以下)ですか?
    
      

はい → 被扶養者として認められる可能性があります

      

いいえ → 被扶養者にはなれません

    
  
  
    

※ 健康保険組合によっては、失業保険手続き時点で被扶養者から外れる場合があります。短期の扶養入り・外れ手続きは家族に負担となるため、必ず事前に勤務先や健康保険組合に確認してください。

  

任意継続被保険者制度

退職後も最長2年間、退職前に加入していた会社の健康保険に継続加入できる制度です。

保険料は会社負担分がなくなり全額自己負担となりますが、標準報酬月額の上限が設けられているため、高所得者や家族の多い世帯では割安になるケースがあります。
また、扶養家族も追加保険料なしで加入できるのが大きな利点です。

任意継続被保険者制度がおすすめの方:

  • 家族の人数が多い世帯  
  • 退職前の給与が高く、国民健康保険より保険料が安くなる可能性が高い方

任意継続の注意点

  • 任意継続は最大2年間加入可能です。
  • 2年目になると、前年の所得によっては国民健康保険のほうが大幅に安くなるケースがあります。
  • 以前は2年間の強制加入でしたが、現在は「2年を待たずに途中で脱退して国民健康保険へ切り替えることが可能」です。
    したがって、任意継続で1年経過後に改めて両方の保険料を比較し、切替を検討するのも賢い選択です。

国民健康保険制度

  • 退職後は住んでいる市区町村の役場で、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険(国保)へ加入手続きをします。保険料は前年の所得や家族人数によって決まります。
  • 会社都合で65歳未満で退職した場合(解雇・倒産・雇い止めなど)、雇用保険の特定受給資格者や特定理由離職者に該当すれば、「保険料軽減制度」が利用できます。  
  • この制度では前年の給与所得を30%として保険料が再計算され、最長で翌年度末まで大幅に軽減されます。
たむ仙人
たむ仙人

多くの方はこの制度を知らず、行政側も積極的には教えてくれないことが多いです。保険料がかなり安くなる可能性が高いので、必ず確認しましょう。

会社都合以外でも保険料軽減の対象となる離職理由があります。
例としては、  

  • 契約期間満了(雇い止め)  
  • 病気やけが、身体的な理由  
  • 妊娠・出産・育児、家族の介護  
  • 配偶者の転勤や結婚・転居による通勤困難  
  • パワハラ・セクハラ等職場環境の問題  
  • 賃金の未払い・大幅減額  
  • 希望退職や解雇勧奨  

国民健康保険がおすすめの方は、  

  • 前年度の収入が低い方  
  • 単身世帯や扶養家族のいない方  
  • 健康保険の任意継続をしない方、または任意継続より保険料が安い場合

となります。

退職後の国民健康保険加入手続きは市区町村役場の窓口やオンライン、郵送で可能で、資格喪失証明書や本人確認書類が必要です。
期限は14日以内で、早めの手続きが必要です。

健康保険の選び方ポイント

健康保険の保障内容(医療給付や自己負担割合)は、どの制度でもほとんど違いはありません。
そのため、選択の際には保険料の安さで比較するのが合理的です。

  • 家族が多い場合:任意継続被保険者制度は、保険料計算が一律固定されているケースが多いため、扶養家族の人数が多いほどメリットが出やすいです。
  • 単身世帯や収入が少ない場合:扶養家族がいない場合や所得が低い場合、退職理由によっては国民健康保険のほうが保険料が安くなることがあります。

どちらを選ぶ場合も、お住まいの市区町村や健康保険組合で両方の保険料を試算し、比較検討することが重要です。

ポイントまとめ

  • 保険料で比較する
  • 家族構成や所得状況で有利な制度が変わる
  • 時期や状況によって途中で切替も可能

健康保険の選択肢まとめ

                                                                                                               
選び方・保険料比較方法ポイント解説
      月額保険料は各制度ごとに計算基準や世帯人数で大きく異なります。
      保険料を試算・比較する際は「前年所得」「家族人数」「標準報酬月額(任意継続)」をもとに、市区町村窓口や健保組合に最新見積もりを依頼し、世帯合算で年間費用を算出。
      任意継続は会社員当時の標準報酬ベース・国保は前年所得や世帯人数ベースで変動・扶養者が多い場合は任意継続有利、それ以外は国民健康保険が安くなることも。
      退職理由が特定受給資格・特定理由離職に該当する場合は減免制度も必ず加味。     
      保険料計算式・詳細条件は各自治体・健保組合ごとに異なるため、「両方を必ず見積もった上で比較・選択」するのが基本です。
      単身・低所得の場合、減免適用で国民健康保険が圧倒的に安いケースもある一方、家族が多い場合は任意継続が有利。
      年途中や2年目以降に保険料逆転現象も起こり得るので、定期的な再試算・切替検討が推奨されます。     
選択肢内容・ポイント
新しい会社の健康保険       転職先で正社員・契約社員になれば会社が自動加入手続き。
      退職前の保険証は返却、新しい保険証到着前は「資格証明書」で医療機関受診可能。
      ただし従業員5人未満や短時間勤務は加入義務がない場合あり。     
家族の健康保険の被扶養者       年収見込み130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)。扶養者の収入の半分未満であることも要件。
      失業保険申請中(待機7日や給付制限中)は一時的に扶養可能。
      受給開始後は基本手当日額が3,611円以下(60歳以上・障害者は5,000円以下)なら扶養認定もあり。
      健保組合の判断で短期で扶養入り・外れが発生する可能性もあるため確認必須。     
任意継続被保険者制度       退職前の健康保険を最長2年継続。保険料は全額自己負担だが標準報酬月額に上限あり。
      家族が多い世帯に有利(扶養家族追加保険料なし)。
      途中で国保へ切替可能(※以前は2年間強制加入だったが現在は自由に途中脱退可)。
      2年目以降は前年所得を基に国保の方が大幅に安くなる場合もあるため、1年経過後に保険料比較・切替検討推奨。     
国民健康保険       市区町村で退職日の翌日から14日以内に加入申請が必要。
      保険料は前年所得・世帯人数で決定。単身・低所得世帯は任意継続より安いケースあり。
      会社都合退職や雇い止め等は特定受給資格者に該当し、前年所得の30%で算定する軽減制度あり(翌年度末まで有効)。
      妊娠・介護・転居・賃金未払いなども特定理由離職者に該当すれば軽減適用可能。
      減額・免除制度あり。
      必ず自治体・健保組合で保険料を試算・比較して最適な制度を選択することが重要。     

年間保険料シミュレーション表

                                                                                                                                 
ケース任意継続国民健康保険解説・注意点
① 単身・年収300万円約40万円/年約36万円/年国保がやや安い傾向。ただし任意継続も大きな差はなく選択可。
② 扶養家族3人・年収500万円約70万円/年約95万円/年       任意継続が断然有利。扶養家族の人数が多くても追加保険料なし=コスパ抜群!     
③ 収入が非常に低い・シングル約24万円/年約15万円/年       国保の減額制度活用で圧倒的安さ。所得が低い場合は国保が有利。     
④ 会社都合退職・年収400万円約56万円/年約30万円/年       会社都合退職は国保が超安く。会社都合・解雇の場合には国保の特例軽減制度あり。     

退職後の年金切り替え手続き(59歳までの方)

会社員や公務員の方が退職した場合、厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。
切り替え手続きは、「退職した日の翌日から14日以内」に住民登録のある市区町村役場で行います。

配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者)(59歳までの方)

  配偶者が会社員や公務員(厚生年金加入者)の場合、その扶養に入ることで「第3号被保険者」となり、国民年金の保険料を自分で支払う必要がなくなります。
この手続きは配偶者の勤務先を通じて行います。

年金切り替えの必要書類

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 退職日が分かる証明書(離職票や退職証明書など)

配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者)

  • 配偶者が会社員や公務員(厚生年金加入者)の場合、その扶養に入ることで「第3号被保険者」となります。
  • 第3号被保険者となると、国民年金の保険料を自分で支払う必要はありません。
  • この手続きは配偶者の勤務先を通じて行います。
  • 第3号被保険者になれるのは20歳以上60歳未満の配偶者です。

国民年金保険料の免除・納付猶予制度

退職後、収入が減少したり失業により国民年金保険料の支払いが難しくなった場合は、「保険料免除制度」や「納付猶予制度」を利用できます。

保険料免除制度

  本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合に申請し、承認されると保険料の納付が全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかで免除されます。  

  特に退職(失業)による特例免除の場合は、申請者本人の所得を除外して審査されるため、失業直後でも申請しやすいのが特徴です。

納付猶予制度

  20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合、申請して承認されると保険料の納付が猶予されます。

申請方法 

  申請は市区町村役場や年金事務所の窓口、または郵送やマイナポータル(電子申請)でも可能です。  

  退職(失業)による特例免除を申請する場合は、雇用保険受給資格者証や離職票など失業を証明できる書類が必要です。

年金の免除猶予制度利用中の注意点

  免除や猶予を受けた期間も、年金の受給資格期間としてカウントされます。
つまり、免除や納付猶予の期間も、“将来年金をもらうために必要な年数”としてちゃんと数えられます。

ただし、もらえる年金の金額そのものは減る場合があるので、この点はご注意ください。

たむ仙人
たむ仙人

国民年金保険料の免除や納付猶予は、退職や失業で収入が減ったときの強い味方です。困ったときは未納にせず、必ず免除猶予の申請をしましょう。

年金の切替・扶養

                                               
項目内容・ポイント
厚生年金 → 国民年金への切替       退職翌日から14日以内に、市区町村役場で国民年金第1号被保険者へ切替。
      必要書類:年金手帳または基礎年金番号通知書、本人確認書類、離職票など。
      期限を過ぎると未納扱いとなり、将来の年金額が減少する恐れあり。
      → 早めの手続きで安心確保     
配偶者の扶養(第3号被保険者)       配偶者が厚生年金加入者の場合、扶養に入れば国民年金保険料が免除されます(自己負担ゼロ)。
      手続きは配偶者の勤務先経由で行い、認定されれば国民年金の加入種別が自動で第3号に変更。
      → 家計負担を減らしつつ年金加入期間を確保可能     

失業保険の手続き(2025年4月以降対応版)

2025年4月以降は、自己都合退職者の給付制限期間が2ヶ月→1ヶ月に短縮されました。ただし、申し込みの流れや注意点にはいくつかポイントがあります。

以下、実際に手続きを行う場合の“イメージ”を具体的にステップごとにご説明します。

【STEP1】必要書類の準備と受け取り

  • 退職した会社から「雇用保険被保険者証」と「離職票(1と2)が郵送されます。
  •   離職票は退職後1〜2週間ほどで郵送されることが多いですが、早めに必要なら会社に連絡して確認を。
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)、本人名義の銀行口座が必須です。

【STEP2】ハローワークで求職申込み&手続き

  • 住民票所在地を管轄するハローワークに行きます。
  • 「求職申込書」に必要事項を記入し、離職票などと一緒に提出します。
  • ここで失業手当の受給資格の有無や給付日数などが確認されます。

【STEP3】雇用保険受給者説明会への参加

  • 初回の説明会の日程を告げられます(約1週間~10日後)。
  • 説明会には必ず出席し、受給資格者証や今後必要な書類を受け取ります。

◆ 待期期間とは

  • 失業保険の申請手続き(求職申込・離職票提出)が完了した日から7日間が「待期(たいき)期間」です。
  • この7日間は就業してはいけません(アルバイトも不可)。
  • この期間内に就職すると、失業給付も再就職手当も受け取れなくなるため注意が必要です。
  • 求人への応募や面接はOKですが、入社は「待期明け」以降にしましょう。

◆ 給付制限期間(自己都合退職・2025年4月以降)

  • 自己都合退職の場合、2025年4月1日以降の雇用保険改正により、基本手当(失業手当)の給付制限期間が短縮されました。
  • 具体的には、「7日間の待機期間」に続いて、これまで2か月間あった給付制限期間が原則として1か月間に変更されています。
  • この給付制限期間中は失業手当は支給されませんが、引き続き積極的な就職活動が求められます。
  • なお、過去5年間に自己都合退職が3回以上ある場合や、重大な自己責任による解雇(重責解雇)などの場合は、給付制限期間が3か月に延長されることがあります。
  • 「特定理由離職者」や教育訓練給付制度対象講座の受講などの条件を満たすと、この給付制限は免除され、早期に支給が開始されます。

給付制限がつくかどうかの判断:特定理由離職者

  • 給付制限が免除されるのは「特定理由離職者」と呼ばれる一定の離職理由による退職者です。
  • 特定理由離職者とは、やむを得ない事情があり自己都合退職と見なされても、正当な理由で離職したと認められる場合を指します。
  • 主な特定理由離職者の例としては、契約期間満了後の非更新(契約更新を希望した場合)、病気やケガ、妊娠・出産・育児・介護、通勤困難、配偶者からの暴力や心理的な問題による離職などがあります。
  • 特定理由離職者は、給付制限期間がなく、7日間の待機期間を経た後、すぐに失業手当の支給が開始されます。
  

給付制限のタイムラインと判断フロー(2025年4月以降)

     
    
      
      
退職日
    
    
      
      
        待期7日間
        失業手当支給なし       
    
    
      
      
        給付制限期間
        原則1か月間
(支給停止)
      
    
    
      
      
給付開始
    
  
     
    

自己都合退職の場合の給付制限免除の判断フロー

    
          
  1. あなたの離職は特定理由離職者ですか?
  2.       
              
    • ✔ 契約満了・病気・育児・介護・配偶者DVなど特定理由がある場合給付制限なしで支給開始
    •         
    • ✘ 特定理由なしの自己都合退職 → 1か月の給付制限あり
    •       
          
  3. 教育訓練給付制度の講座や公共職業訓練を離職日前1年以内または離職後に受講開始していますか?
  4.       
              
    • 給付制限が解除され、待期終了後すぐ支給開始可能
    •         
    • ✘ 受講していなければ支給開始は給付制限期間終了後
    •       
        
    

      ※詳しい証明書提出や申請はハローワーク窓口で行います。給付制限の判断も個別審査によるため、早めの相談が重要です。     

  

給付制限中の就職と「再就職手当」

  • 「給付制限期間中」に内定・就職が決まってもOKです。
  • 待期期間終了後に就職すれば、再就職手当の対象になります。
  • 再就職手当とは、失業手当の所定給付日数を残した状態で早期に再就職した人に支給される制度で、最大70%(残日数による)が支給されます。

【STEP5】就職活動をする

  • 失業給付を受けるには“失業状態(働く意思・能力がある)”が必要です。
  • 認定日までに原則2回以上の求職活動(面接応募やセミナー参加等)が求められます。

【STEP6】失業認定日にハローワークへ

  • 説明会でもらう「失業認定申告書」に活動内容を記入し、失業認定日にハローワークへ提出します。
  • 問題なければ最短で手続きから約1ヶ月半後(待期+給付制限明け)に、失業手当(雇用保険基本手当)が指定口座に振り込まれます。

【注意】受給期間の延長・特例

病気・出産・介護・留学など「就職できないやむを得ない理由」がある場合、“受給期間の延長”申請が可能です。

     退職理由別・給付制限期間一覧表      
                                                                                                                                                                             
退職理由給付制限期間備考
自己都合退職1ヶ月2025年4月~(従来は2ヶ月)
教育訓練受講なし離職前1年以内または離職後の受講で制限解除
会社都合退職なし待機期間(7日間)のみ
  

年収ダウン・再就職リスクへの備え

再就職時は年収が下がるケースも多いです。
そこで退職後の生活費やローン、保険などの家計を見直しておくと安心です。

在職中の転職活動・スキルアップのすすめ

転職活動は在職中が基本。ブランクを作らず収入を確保できるため、精神的な余裕も生まれます。
在職中に資格取得やスキルアップ講座の受講を検討するのも有効ですね。
2025年4月からは、教育訓練給付の対象講座を受講していれば、失業保険の給付制限が解除される新制度が開始。

詳しくはこちら

職業訓練の受講について

職業訓練の主なメリット

  • 受講料が無料  
    訓練は原則無料で受けられます(一部テキスト代など自己負担あり)。
  • 生活費・手当の給付
    雇用保険受給資格がある場合は失業給付を継続して受けられるほか、受講手当(日額500円・上限2万円) 通所手当(交通費) 寄宿手当(月上限10,700円)  条件により月10万円の「職業訓練受講給付金」 が支給される場合があります。
  • 就職支援が充実
    キャリア相談、履歴書・職務経歴書作成サポート、模擬面接、求人紹介などを受けられます。
  • 実践的スキル・資格取得
     IT、簿記、介護、パソコンなど多様な分野で、修了後に資格試験受験も可能。
  • 生活リズムの維持・意欲向上
    規則正しい習慣が身につき、就業意欲も高まります。
  • 託児サービス付きコースあり
    子育て中の方でも参加しやすい環境を整備。
  • 給付制限解除
    自己都合退職でも、退職前1年以内または退職後に公共職業訓練や教育訓練給付制度対象講座を受講開始すると、通常の1か月間の給付制限が免除され、待期7日後から失業給付が受けられます。  
たむ仙人
たむ仙人

職業訓練を受講するメリットは「無料で学べる+生活を支える手当+就職支援+失業給付の延長」という大きな安心感にあります。

特に自己都合退職でも待期後すぐに失業給付を受けられ、訓練終了まで給付が延長されるのは大きな強みです。 

まとめ

  • 退職の流れを押さえ、計画的に手続きを進めることが大切です。
  • 法的ルールや会社の就業規則、引き継ぎ書の作成など、円満退職のためのポイントをしっかり確認しましょう。
  • 健康保険や年金、失業保険の手続きは早めに行い、免除や猶予制度も活用して生活の安心を守りましょう。
  • 退職後の生活設計や年収ダウン対策、スキルアップの準備も忘れずに行いましょう。
タイトルとURLをコピーしました