職業訓練受講給付金をわかりやすく解説|条件や手続きの流れは?

訓練手続き

仕事を辞めて再就職を考えると、
「今のままでは希望する仕事に就くのが難しいかもしれない」
と感じ、スキルアップのために職業訓練を検討する人は少なくありません。

ただ、訓練を受けるには数ヶ月の通学が必要で、失業給付を受けられない場合や、そもそも雇用保険に加入していなかった場合は、生活費の不安が大きな壁になります。

そんなときに、「訓練を受けると、生活を支える給付金があるらしい」という話を耳にして、制度の内容を知りたくなる人も多いはずです。

その制度が、職業訓練受講給付金(月10万円)です。

この制度は、厚生労働省(ハローワーク)が実施する「求職者支援制度」の柱であり、条件さえ満たせば月額10万円+交通費を支給されながら、無料で職業訓練を受けることができます。

訓練期間中の生活を支えるために設けられた仕組みで、失業給付をもらえない方向けに、国が「安心して学び直しができる環境」を整える目的で創設されています。
税金が投入されているため、要件や運用は厳格ですが、条件を満たす人にとっては再就職に向けた大きな支えになります。

たむ仙人
たむ仙人

訓練を受けている期間中は、ずっとこの給付金を受け続けることができて、もちろん返還する必要もありません。本当にありがたい制度です。

しかし、この制度は「誰でも簡単にもらえる」ほど甘いものではありません。
審査は非常に厳格で、たった一日の遅刻や、家族のちょっとした貯金額のミスで、給付が打ち切られることもあります。

なぜ国がお金を払ってまで勉強させてくれるのか

まず理解しておくべきは、この制度の目的です。これは単なる「福祉(お小遣い)」ではなく、「積極的労働政策」の一環です。

国としては、スキルがないまま失業状態が続くよりも、10万円を払ってでも短期間でスキルを身につけさせ、正社員として納税してもらう方が、長期的にはメリットが大きいと考えています。
そのため、この給付金には「再就職に対する強い意思」が求められます。

「失業保険」との決定的な違い

よく混同されるのが「失業保険(雇用保険の基本手当)」です。ここは誤解されやすいので、必要な部分だけ簡潔にまとめます。

● 失業保険(雇用保険)

  • 離職前の給与に応じて金額が変わる
  • 離職理由によって給付制限がある
  • 雇用保険に加入していた人だけが対象
  • 通常は給付日数に上限がある

● 職業訓練受講給付金

  • 失業保険を受けられない人が対象(雇用保険未加入、加入期間不足、専業主婦・主夫、自営業など)
  • 月10万円で固定
  • 出席率などの厳しい要件あり
  • 訓練が終わるまで支給される(給付日数という概念がない)

つまり、この給付金は「セーフティネットの第2陣」なのです。

【失業保険と職業訓練受講給付金の比較表】

失業保険(基本手当) 職業訓練受講給付金
対象者 雇用保険に加入していた離職者 失業保険をもらえない人
(未加入・加入期間不足・専業主婦など)
支給額 離職前賃金に応じて変動 月額 10万円(固定)
給付期間 給付日数に上限あり
(受講指示があれば訓練終了まで延長)
訓練終了まで支給
(給付日数の概念なし)
収入・資産要件 なし あり(世帯収入・資産の審査)
出席要件 8割以上(やむを得ない欠席含む) 原則 全出席
(1日の欠席で月10万円が不支給)
位置づけ 雇用保険の「権利」として受け取るもの セーフティネットの第2陣
(困窮要件を満たした特例給付)

支給される金額とその内訳

職業訓練受講給付金で受給できる金額は、大きく分けて3種類あります。これらは合算して支給されます。

受講手当:月額 100,000円

これがメインの支給額です。訓練を受けている期間中、1ヶ月ごとに支給されます。この10万円をベースに生活を組み立てることになります。

ただし、ここには”超重要なルール”があります。

たむ仙人
たむ仙人

1日の欠席・遅刻・早退で、その月の10万円が丸ごと不支給になります。

制度の中でもっとも厳しいポイントなので、後の章で詳しく解説します。

通所手当:最大 42,500円(月額)

訓練校に通うための交通費です。最も経済的かつ合理的な経路での運賃が支給されます。
バス代、電車代以外に、自動車通学の場合も、距離に応じた一定額(ガソリン代相当)が支給されます。(❌ 駐車場代は支給対象外)

また、世帯収入34万円以下の特例では、交通費のみ支給されるケースもあります。

寄宿手当:月額 10,700円(※転居が必要な場合のみ)

通学にかなりの時間がかかるなど、通学が困難な場合に、訓練を受けるために家族と別居して寄宿する人を対象に支給されます。
通学時間が往復4時間以上の場合ですから、非常に限定的なケースでのみ認められます。

【支給額まとめ表】

手当の種類 月額上限 支給対象・条件 注意点
受講手当 100,000円 全受給者が対象
(訓練期間中、毎月支給)
1日の欠席・遅刻・早退で
全額不支給
通所手当 42,500円 電車・バス・自動車通学の交通費
(最も合理的な経路で算定)
駐車場代は対象外
寄宿手当 10,700円 家族と別居して寄宿する場合のみ
(通学時間が往復4時間以上)
非常に限定的なケースのみ
合計(最大) 153,200円 3つの手当を合算した場合の理論上の最大額

職業訓練受講給付金の対象となる人

この給付金は、一言でいえば、
失業保険(基本手当)をもらえない人」のための制度です。
ただし、その中身は「なぜもらえないのか」によって、大きく3つのパターンに分かれます。まず自分がどのパターンか確認してみましょう。

【対象者の自己チェック表】

あてはまる状況 該当パターン 給付金の受給
週20時間未満のパート・アルバイトをしていた 3-1(離職者) 対象になりやすい
雇用保険の加入期間が短く、受給資格がない 3-1(離職者) 対象になりやすい
フリーランス・自営業を完全に廃業して就職を目指す 3-1(離職者) 完全廃業が条件
専業主婦・主夫で長年働いておらず、社会復帰を目指す 3-2(未就業者) 対象になりやすい
引きこもり・療養から回復し、初めて就職活動を始める 3-2(未就業者) 対象になりやすい
失業保険の残日数が少なく「受講推薦」で訓練に入る予定 3-3(途中切り替え) 失業保険終了後に切替

仕事を退職したが、失業保険(基本手当)を受給できない方

働く意思はあるものの、雇用保険の条件を満たしていないために通常の失業保険が出ない「離職中」の方々です。

  • 雇用保険に加入していなかった方
  • 週20時間未満の短時間アルバイトやパートをしていた
  • 勤務先が雇用保険の加入手続きをしていなかった
  • 雇用保険の加入期間が足りない方
    働く期間が短く、受給資格(原則12ヶ月以上など)を得る前に退職した
    転職を繰り返しており、通算の加入期間が不足している
  • フリーランス・自営業・個人事業主だった方
    案件や事業を停止(廃業)し、次は企業に雇用される形での再就職を目指している
    ※完全に仕事を辞めて転職活動に専念する場合に対象となります

専業主婦や引きこもりなど、これまで働いていなかった方

この給付金の大きな特徴は、直近で「仕事を辞めた人」だけでなく、そもそも雇用保険の枠組み(労働市場)にいなかった未就業者も対象になる点です。

長期間のブランクがある方(専業主婦・主夫など)

  • 子育てが落ち着いたので、未経験から就職活動を始めたい
  • 親の介護が終わり、何年かぶりに社会復帰を目指したい
    社会から離れていた期間がある方
  • 引きこもり状態から一歩踏み出し、自立のために就職したい
  • 病気療養が終わり、体調が万全になったので復帰を目指す

訓練の途中で失業保険がなくなる方(敗者復活ルート!)

ここが少し複雑ですが、非常に重要なポイントです。
実は、訓練の開始時点で「失業保険をもらっている人」であっても、受講の途中で職業訓練受講給付金(月10万円)に切り替えられる仕組みが存在します。

そもそも、なぜ途中で失業保険がなくなるのか?

失業保険を受けている人が職業訓練を受ける場合、訓練開始時に失業保険の残日数が一定以上あれば、訓練が終わるまで延長されます。これを「受講指示」と呼びます。

→ 受講指示の詳細はこちら:職業訓練を【受講指示】で受ける条件と5つのメリットを徹底解説

しかし、訓練を始める前に残日数が基準(原則3分の1以上など)に足りない場合は、ハローワークからは「受講指示」ではなく「受講推薦」しか出ません。
受講推薦には、失業保険の延長制度がありません。

つまり、「訓練の途中で失業保険のカウントダウンがゼロになり、支給が終わってしまう(=無収入になる)」という事態が発生するのです。
しかも受講推薦の場合、訓練開始の初日から交通費(通所手当)は一切支給されず、すべて自腹という厳しい現実が待っています。

🌈 これが「途中切り替えルート」だ

「途中で無収入になるなら、職業訓練なんて受けられない…」と諦めるのは早計です。

訓練の途中で失業保険が終了した瞬間、あなたのステータスは「失業保険を(これ以上)もらえない人」に変わります。この瞬間から、職業訓練受講給付金の対象者に切り替わるのです。
失業保険が切れた翌日からは、月10万円の給付金にバトンタッチして最後まで訓練を続けることができます。

🚀 【視覚図解】失業保険から給付金への「バトンタッチ」

前半
失業保険(基本手当)を受給
※受講推薦のため、訓練の途中で支給が終了
ここで支給終了&切り替え!
後半
職業訓練受講給付金へ移行!
毎月 10万円 + 通所手当を最後まで受給
たむ仙人
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訓練受講の途中で訓練受講給付金の対象になることは、訓練開始前に分かっていますので、訓練開始前にこの給付金の事前申請をおこないます。

【対象者まとめ表】

区分 具体的な対象者の例 給付金をもらうための前提条件
離職者・元フリーランス
  • 週20時間未満のパート・アルバイト
  • 加入期間不足で失業保険がない方
  • 廃業して会社員を目指すフリーランス・自営業
※フリーランス・自営業は、完全に仕事を辞めて転職活動に専念すること
未就業者(ブランクあり)
  • 子育て・介護が落ち着いた専業主婦(主夫)
  • 引きこもり状態から脱出したい方
  • 病気療養から復帰して働きたい方
ハローワークで求職申込みを行い、就職する強い意思があること
途中失効者(敗者復活)
  • 失業保険の残日数が足りず「受講推薦」で訓練に入った方
訓練の途中で失業保険が終了した時点から切り替え可能
たむ仙人
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ちなみに職業訓練受講給付金は、求職者支援訓練の受講生のみが対象だけでなく、公共職業訓練の受講生も対象となります。

→ 求職者支援訓練と公共職業訓練の違いについてはこちら:求職者支援訓練と公共職業訓練の違いを徹底比較

【最重要】支給要件(9つの条件)の徹底深掘り

給付金をもらうには、以下の9つの条件を「すべて」満たす必要があります。
一つでも漏れると、その月の10万円は1円も支給されません。

たむ仙人
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訓練期間中のうち、1ヶ月ごとに毎回支給申請をしていきます。
要件を満たせば1か月ごとに支給します)

1.10万円を守るための「絶対出席」ルール

給付金受給において、収入や資産の壁を突破した後に立ちはだかる最大の難所が「出席要件」です。
ここを正しく理解していないと、せっかくの給付金が途中で打ち切られるリスクがあります。

職業訓練受講給付金の出席要件は、非常に厳格です。
職業訓練受講給付金においては、各期間中で1回の欠席(やむを得ない理由の場合は除く)でさえ許されません。
失業保険を受けながら訓練を受ける場合の出席要件のレベルとは断然違いますから注意してください。

基本ルール:
1ヶ月の支給単位期間中に、理由なく1日でも欠席・遅刻・早退をすると、その月の給付金(10万円)は全額不支給となります。

分刻みの管理:
わずか数分の遅刻であっても、正当な理由がなければアウトです。毎日、訓練校が厳密に出席簿を管理し、ハローワークへ報告されます。

「やむを得ない理由」と認められるケース

もちろん、どうしても通えない事情がある場合は救済措置があります。
ただし、必ず「客観的な証明書類」が必要です。

  • 病気・怪我:病院の領収書や診断書が必要です。
  • 親族の看護・介護:家族の通院付き添いなど。
  • 冠婚葬祭:親族の葬儀など(会葬御礼のハガキ等が必要)。
  • 就職活動:採用試験や面接(訓練校への事前届け出が必要)。
  • 天災・公共交通機関の遅延:遅延証明書が必要です。

知っておきたい「出席率の計算」と「分母除外」の仕組み

ここが受講生の命運を分けるポイントです。
職業訓練受講給付金の受給には、
やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席が必要
とされていますが、実は計算の対象外(分母から除外)になるケースがあります。

インフルエンザなどの感染症による出席停止

インフルエンザや新型コロナウイルスなど、法律や訓練校の規定で「他の受講生に感染させる恐れがある」として出席停止になった期間は、出席すべき日(分母)から除外されます。

例:

月に20日の訓練日がある場合、インフルエンザで5日間出席停止になれば、分母が「15日」となり、その15日に対して出席率が計算されます。

これにより、長期欠席によって「8割」の基準を下回ってしまうリスクを回避できる仕組みになっています。

その他、分母から除外されるケース
  • 親族の忌引き(一定範囲)
  • 裁判員等に選任された場合
  • ハローワークの指示による求職活動(面接など)
  • 大規模災害による通所困難
たむ仙人
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年末年始やGW期間中など、支給単位期間の訓練日数自体が少ないときは、仮に欠席がやむを得ない理由であっても、すぐに8割以上の出席要件を下回ることがありますので注意が必要です。

「8割の壁」と訓練継続の可否

給付金とは別に、「訓練自体を続けられるか」という基準もあります。

理由の如何を問わず、訓練全期間を通じた出席率が8割を切ると、その時点で訓練そのものが「退校(除名)」処分となります。
インフルエンザ等で「分母除外」された期間は、この退校基準の計算においても考慮されますが、あまりに欠席が続くと「訓練内容の習得が困難」と判断される場合もあるため注意が必要です。

2. 本人収入が月8万円以下であること

「もらいながらバイトはできる?」という質問の答えは「YES」ですが、月の総収入(交通費なども含む)が8万円以下である必要があります。

ただし、その場合には、月収が8万円以下であるとともに、週20時間未満の勤務時間に抑える必要があります。

先に述べたように、週20時間以上の勤務になると雇用保険に加入するような働き方となり、そもそも職業訓練自体を受けることができなくなります。

  • 注意: 副業、年金、仕送りなども「収入」とみなされる場合があるため、正直に申告しましょう。

3. 世帯全体の収入が月30万円以下であること

ここでいう「世帯」とは、同居している家族(配偶者、子、父母)全員を指します。

世帯全体の月収が30万円以下であることが要件です。
この「世帯全体」という点がポイントです。

例えば、両親と同居している場合、年金暮らしの両親の年金額も収入になりますから両親の収入だけで要件を外れてしまうことがあります。

ですから実際には、一人暮らしでないと職業訓練受講給付金の要件に該当しないことが多いようです。

なお、特例措置として、
本人収入が月収12万円以下かつ世帯収入が月収34万円以下の場合は、職業訓練受講手当の10万円は出ませんが、施設への交通費(通所手当)だけが支給されることがあります。

4. 世帯全体の金融資産が300万円以下であること

これが最大の難関です。家族全員の預貯金、株、債券などが合算されます。
受給者本人とその世帯の金融資産が合わせて300万円以下である必要があります。
こちらも、家族と同居している場合は300万以上になることが多いため、給付金がもらいにくい代表的な要件となっています。

また仮に世帯全体で300万円未満であっても、家族の資産(すべての通帳の残高など)を毎回の申請のたびにハローワークに提示しなければなりませんから、家族の理解も必要になってきます。

  • 申請時に、家族全員分の「通帳コピー」の提出を求められます。

5. 現在住んでいる所以外に土地・建物を所有していない

自分名義の投資用マンションや、利用していない土地などを持っていると対象外です。

6. 世帯の中に同時に給付金を受給している者がいない

一世帯につき一人までしか受給できません。

7. 過去3年以内に、不正行為で特定の給付金を受けていない

過去にハローワーク等で嘘をついてお金をもらったことがある人は対象外です。

8. 過去6年以内に、職業訓練受講給付金を受けていない

一度受給した人は、次の受給まで6年空ける必要があります。
これは、制度の乱用や二重受給を防ぐための措置です。

9. 雇用保険被保険者ではない(週20時間以上働いていない)

現在、週20時間以上働いて雇用保険に入っている人は、そもそも「失業者」ではないため訓練受講の対象外です。

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職業訓練受講給付金のデメリットは?

職業訓練受講給付金の支給を受ける際のデメリットは以下のとおりです。

確実に職業訓練受講給付金の支給が受けられるわけではない

訓練受講中の各審査期間で全出席が必要であり遅刻・早退も許されないという厳しさがあります。やむを得ない理由であれば欠席できないこともないですが最低8割以上の出席は求められます。

また、収入要件・資産要件もかなり厳しいものです。家族の収入・資産もすべて提示しなければならず、ボーナス月は収入要件の30万円を超えて支給対象外となることもあります。

訓練受講中の経済的支援は限定的

本人の収入は8万円以下に限定されますから、訓練受講給付金の10万円以外にアルバイトなどで収入を増やすことは限定されます。限定的な収入では生活が成り立たない方には不向きな制度といえます。

確実に職業訓練自体を受けられるわけではない

給付金を受けるためには、当たり前ですが、職業訓練を受けることがまず大前提になります。そのためには、ハローワークで職業訓練相談を受け、受講申込をして選考会に参加して合格するという一連の手続きを踏まなければなりません。また、せっかく訓練の受講申込みをしたものの、定員に対して応募人数が少なく開講されないというリスクもあります。

まずハローワークから職業訓練を受ける必要があると認定してもらう必要があるのです。そこで、「どの訓練コースが自分に合うか」の指標や、面接での志望動機の「設計図」として非常に役立つのが、専門の適職診断ツールです。

15分ほどの回答で自分の資質を数値化できるため、ハローワークでの相談や選考会でも、客観的なデータに基づいた説得力のある説明ができるようになります。

【デメリットまとめ表】

デメリット 具体的な内容 対策・備考
出席要件が非常に厳しい 正当な理由のない欠席・遅刻・早退が1回でもあると月10万円が全額不支給 病院・葬儀等は証明書類を必ず用意しておく
収入要件が厳格 本人月収8万円以下・世帯月収30万円以下が毎月審査される。ボーナス月は超過リスクあり ボーナス支給月は事前にハローワークへ確認を
資産要件が厳格 世帯全体の金融資産が300万円以下。家族全員の通帳コピーを毎回提出 家族の理解と協力が不可欠
アルバイトが限定的 月収8万円以下・週20時間未満という制約で収入を増やしにくい 平日夜・土日祝のみが現実的
訓練自体に選考がある 受講申込→説明会→選考会という手続きが必要。定員不足で開講されないリスクもある 複数コースを検討しておくと安心
6年以内の再受給不可 一度受給すると、次の受給まで6年間の間隔が必要 訓練コース選びを慎重に

職業訓練受講給付金の手続きの全体の流れ

1. ハローワークで求職申込・職業訓練相談

まず、自分の住所地を管轄するハローワークで 求職登録(求職申込) を行います。
そのうえで、「なぜ訓練を受けたいのか」「就きたい職種がどのようなものか」「これまでの経験とスキル」などを相談員に伝えます。

👉ここで希望動機が弱いと、訓練に結びつかない場合がありますので「就職目標」と「訓練が必要な理由」を明確にしておくことが重要です。

2. 訓練コースの選定

ハローワークが提示する「訓練実施校一覧」から、自分のキャリアプランに合うものを選びます。
選定のポイントは以下の通りです。

  • 就職希望職種と訓練内容が一致しているか
  • 訓練期間が家庭や生活と両立できるか
  • 訓練校の場所・通学の利便性
  • 訓練後に取得できる資格や技能の有無

3. 説明会の参加・受講申込・選考会の参加

訓練校の説明会は必ず参加を推奨されます。実際の授業内容・雰囲気・講師がわかり、ミスマッチを防げます。
申込は必ず管轄のハローワークに申込書を提出します。
願書様式、写真の有無、必要書類は訓練校により異なります。

👉受講申込後、定員超過かどうかに関わらず筆記試験や面接試験が行われます。

4. 合格後の「事前審査書類」提出

訓練に合格したら、次は 職業訓練受講給付金を受けるための事前審査 に進みます。

提出書類の例:

  • 本人確認書類、住民票
  • 所得証明書(世帯収入要件の確認)
  • 離職票や給与明細など(雇用保険加入歴の確認)
  • 貯蓄額の申告(資産要件の確認)

👉これらで「収入・資産が一定以下」「就職の意思がある」と認められれば給付対象となります。
※必要書類の詳細は下記の厚労省サイトでご確認ください。

5. 訓練開始前日の「就職支援計画書」受理

訓練開始前日にハローワークにて「就職支援計画書」を受け取ります。
これはハローワークと本人との間で「どう就職活動を進めるか」「そのためにこの訓練をどう活かすか」を明文化した計画書です。
訓練期間中はこの計画に基づいて相談・給付申請が行われます。

6. 職業訓練開始

訓練期間中は実際の授業への出席と就職活動の両立が必要となります。
欠席や遅刻が多いと、ハローワークへ報告され、給付金が打ち切られることもありますので要注意です。

7. 月1回のハローワーク訪問(相談・給付金申請)

訓練受講中は、月1回ハローワークに出向いて「職業訓練相談」と「給付金申請」を行います。

訓練校から提出される出席状況報告書や通帳などを毎月のハローワークの指定来所日にハローワークへ提出します。
訓練開始前にハローワークから交付された「就職支援計画書」で毎月の求職活動計画が指示され毎月の求職活動報告と出席状況の報告をします。
併せて、訓練受講給付金の申請をします。

提出するもの:

  • 就職支援計画書
  • 受講証明書(訓練校が毎月発行)
  • 給付金申請書類

ハローワークで審査後、通常は1週間~10日前後で指定口座に給付金が振り込まれます。

8. 訓練終了後の就職支援

訓練が終わってもすぐに就職先が決まるとは限りません。その場合も月1回ペースでハローワークの支援を受けます。
求人紹介・応募書類添削や就職活動報告などが行われ、引き続き就職実現をサポートしてもらえます。

9. 就職決定後の報告

就職が決まったら、必ず訓練校とハローワークに報告します。

STEP 手続きの内容
① 求職申込・相談 住所地管轄のハローワークで求職登録を行い、職業訓練を受けたい理由や希望職種を相談します。
次のステップへ
② 訓練コースの選定 訓練一覧から希望コースを比較検討します。就職目標、取得資格、通学しやすさを考えて選びます。
説明会・申込へ進む
③ 説明会・受講申込 訓練校説明会に参加してから必ずハローワークに受講申込書を提出します。
申込形式は以下の2パターンがあります:
① ハローワークに申込書を提出 → それで申込完了する場合
② ハローワークで必要書類を提出+紹介状受取 → 訓練校に本人が申込書を提出する場合
※コースにより面接や選考試験が実施されることがあります。
合格通知後の給付金手続きへ
④ 合格・事前審査書類提出 合格したら職業訓練受講給付金の事前審査書類をハローワークへ提出。収入・資産などの要件を確認されます。
訓練開始直前の準備
⑤ 就職支援計画書 受理 訓練開始前日にハローワークにて就職支援計画書を受け取り、就職活動の方向性を明確化します。
いよいよ訓練が始まります
⑥ 職業訓練開始 出席・授業料は無料(テキスト代のみ自己負担)。欠席が多いと給付停止になるので注意が必要です。
月1回の給付申請
⑦ 月1回の申請・相談 訓練校からの「受講証明書」とともに給付金申請。ハローワークで相談を受けたのち、通常1週間前後で口座に振込。
訓練修了へ
⑧ 訓練終了後 就職が未決定の場合は引き続き月1回のハローワーク支援。就職が決まったら必ずハローワークと訓練校へ報告します。

第7章:職業訓練受講給付金に関するQ&A

Q
確定申告は必要ですか?
A

非課税ですので確定申告の必要はありません。ちなみに年収130万または180万未満の社会保険の扶養の範囲内(健康保険料・年金保険料の負担なし)とみなされるかどうかの収入根拠には入れないといけません。

Q
ボーナス月は世帯の収入が増えますがどうなりますか?
A

支給対象期間ごとに収入額を判定しますが、ボーナスが振込された日にあたる対象期間はボーナスの金額も含みます。したがって、通常の対象期間は職業訓練受講給付金の要件に該当していても、ボーナスが支給される期間は要件から外れる場合が出てきます。

Q
訓練受講給付金をもらいながら訓練期間中にアルバイトはできますか?
A

アルバイトをすることは可能です。ただし、月収は8万円以下で週20時間未満の働きに抑える必要があります。また、平日は職業訓練が開講されることが多いので、かりにアルバイトをするとしても平日の夜や訓練が開講されない土日祝に限定されることが多いです。

Q
訓練を途中でやめたらどうなる?
A

退校した時点で支給は終了します。自己都合による中途退校の場合、退校日以降の給付金は支給されません。また、偽りの理由による退校や、不正が発覚した場合は、すでに受け取った給付金の返還を求められることがあります。やむを得ない事情(病気・ケガなど)による退校については、ハローワークに相談することをおすすめします。

Q
職業訓練中は訓練校の近郊に転居して一人暮らしすれば、世帯の収入や金融資産は対象外にすることができますか?
A

職業訓練を受講するために転居した場合は別世帯とみなされないため世帯の収入や金融資産も要件に含まれます。

Q
世帯収入の上限について、月収25万円、30万円、40万円、など色々な情報がありますがどれが正解ですか?
A

以前は月収25万円という設定でしたが、コロナ禍の行動制限のあった期間に月収40万円という特例措置の時期がありました。現在は月収30万円となっており、例外的に、月収34万円までなら職業訓練受講手当の月額100,000円は支給されないが交通費のみ支給されるという特例措置があります。

Q
 職業訓練受講給付金の審査は厳しいか?
A

結論から言うと、審査および受給の継続基準は非常に厳しいです。

給付金を受け取るためには、訓練開始前の「事前審査」だけでなく、訓練開始後も毎月ごとに審査を受ける必要があります。
事前審査を通過したからといって、卒業まで自動的に支給され続けるわけではありません。

具体的には、以下のような厳格な条件が課されます。

  • 厳しい出席要件(1日でも休むとアウトの可能性)
    無断・自己都合の欠席は一発不支給:やむを得ない理由(病気や冠婚葬祭など)以外の欠席が1日でもあれば、その月の給付金は全額不支給となります。
    やむを得ない理由でも「8割」が必要: 証明書が出せる「やむを得ない理由」の欠席であっても、訓練期間中の出席率が8割未満になれば、やはり支給されません。
    「ゴールデンウィーク・年末年始」などの落とし穴
    祝日や長期休暇がある月は、もともとの開講日数が少なくなります。
    例えば、月の訓練日数が10日しかない場合、やむを得ない理由であっても3日休んだだけで出席率は70%となり、8割要件をクリアできず不支給になってしまいます。
    日数が少ない月ほど、少しの体調不良による欠席が命取りになります。
  • 毎月の「指定来所日」の厳守
    毎月指定されるハローワークへの来所日(職業相談日)には、必ず本人が行く必要があります。
    万が一、無断で1回でも行かなかった場合、それ以降の給付金は一切支給されません。
    さらに無断欠席を繰り返すと、強制退校処分や、受給済み給付金の「全額返還」といった非常に重いペナルティが科されます。
  • 世帯収入の変動による「その月だけ不支給」の罠
    給付金の条件には「世帯全体の収入が月30万円以下」というルールがあります。
    毎月の審査があるため、「配偶者に賞与(ボーナス)が出た月だけ世帯収入が30万円を超えてしまい、その月は不支給になった」という事例も実際にあります。

なお、提出書類に虚偽の内容がある場合は不正とみなされ、受給した金額の返還に加えて返還額の2倍の金額の納付を命じられることもあります。
つまり、3倍返しになりますので注意が必要です。

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この記事を書いた人
プロフィール
たむ仙人 (キャリアコンサルタント&社労士)

通算25年、キャリア支援業界で生き抜いてきました。
大学新卒の一歩から、中高年の再就職まで幅広くサポート。
こだわりの専門領域は、 職業訓練マスター応募書類の魔改造クリエイター扶養の知恵袋達人
趣味は海外サッカー観戦。ピッチの熱狂を仕事の情熱にも。
ちょっと笑って安心できる――そんなサポートを心がけています。

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