はじめに
こんにちは。再就職の面接の場面で退職理由を説明するのって意外と難しくありませんか?
特にネガティブな理由で退職した場合は、どのように説明するかによって印象がまったく違ってきますから慎重になりますよね。
でも安心してください。
実は、5つのポイントを知っておくだけで、自信を持って面接に臨めてさらに面接官に評価してもらえる可能性があります。
この記事では、14年を超える再就職支援の現場で私が学んだ、面接で退職理由を上手に伝えるポイントと、具体的な回答例を紹介します。
この記事は、以下のような人におすすめです。
- 転職歴が多い人
- 短期間で退職した人
- 退職理由に悩んでいる人
- 退職理由を自信を持って説明したい人
退職理由を面接で聞かれる理由
なぜ面接で退職理由が問われるのでしょうか?
その理由は以下の2つです。
ポイント1: 長く一緒に働いてくれる人なのか?
採用担当者は、新たなメンバーが短期間で辞めてしまわないかどうか心配します。
そのため、退職理由を知ることで、応募者が当社で長く仕事に取り組む意志があるのかどうかを確認したいのです。
ポイント2: 応募者の対応力を見る
なぜ前の仕事を辞めたのかを聞くことで、その人がどんな性格なのか、成長への意欲があるのかどうかがある程度理解できるのです。
また、どのように退職理由を説明するかで、その人のコミュニケーション力を推し量ることもできます。
5つのポイントを理解しよう
では、
面接で退職理由をうまく説明するために、以下の5つのポイントを理解しましょう。
1: 退職理由を具体的に明示
例えば、仕事に不満がある場合、感情を伝えるのではなく、どのような背景があって不満が生まれたのかをまず考えてみましょう。
退職理由が具体的でわかりやすければ、面接担当者はその理由を受け止めやすくなります。
2.どの退職理由を伝えるか
これまでたくさんの転職相談を受けてきましたが、実際の退職理由は一つではなく複数あることが多いです。
そこで、
ネガティブな理由だけでなく、ポジティブな理由ややむを得ない理由も退職理由の候補として検討しましょう。
前向きな理由として、正社員になりたい、専門職として働きたいといった理由があげられます。
やむを得ない理由としては、健康問題や家族の介護、転居、通勤距離の問題などが考えられます。
こうした、前向きあるいはやむを得ない退職理由を説明した方が、ネガティブな理由よりも相手に受け入れられやすいでしょう。
体調不良や精神的な不調により退職した場合は、必ず現在は十分就労可能であることを付け加えておくとよいでしょう。
3.事実に基づいた説明をする
ただし抑えておきたいポイントは、
事実を歪曲せずに伝える!
ことです。
無理やりひねり出した理由はどうしても微妙な違和感を感じてしまいます。
私の職業相談の経験の中でも、こんなことがありました。
会社を退職後に再就職の相談に来られた若い女性に、退職理由を聞きました。
すると、「転居のため退職した」という説明だったんです。
しかし、転居先は本人と何の縁もゆかりもない地域でした。
なぜ、そこに転居しようと思ったのか聞くと、
ただ、「前々から住んでみたいと思っていた場所だった」という説明だったんです。
これを聞いたとき、どうにも違和感を感じてしまったんですね。
話を進めていくと、実際には彼氏のあとを追って彼氏の住んでいる土地に引っ越すためというのが本当の理由でした。
本人は一生懸命考えたのでしょうが、このような嘘をつく必要はまったくなく、退職理由を述べる際には、率直で誠実であることが重要だと考えます。
逆に、
「退職した本当の理由は他にあったのではないか」と勘ぐられるのではないでしょうか?
逆効果になりかねないです。
ですから、退職理由で嘘はおすすめできません。
4.退職理由の説明に迷うケース
次に、どのように退職理由を説明したら良いか迷うケースをご紹介します。
前職場を批判するような内容になる理由の場合
前職のことを悪く言うことは、一般的にあまり良くない回答例とされます。
このような、批判する内容として代表的な例といえるのが
「人間関係での退職」です。
あるいは劣悪な労働環境による退職(改善意識や遵法精神の欠如、労働と報酬の対価が釣り合っていないなど)も批判と取られかねい例だと思います。
本人にとって前職は、「この厳しい環境で続けることはとてもムリ」と思って退職したものの、いざ再就職の面接で、そのようなネガティブな退職理由を説明するのって、
「相手に悪いイメージを与えるのではないか?」と思ってしまいますよね。
では、ネガティブな退職理由は本当にアウトなのでしょうか?
私も多くの転職相談を受けるなかで、退職理由はできるだけポジティブな理由や、やむを得ない理由のほうを強調しましょうと助言してきました。
しかし、色々な退職理由をお聞きしていくうちに、
・劣悪な人間関係で、自分なりに努力したけれども叶わなかった
・会社の体制があまりに厳しく改善が見込めなかった
といった相談事例に多く触れてきたなかで、たとえネガティブな理由でも、
「確かに前職のことを悪く言うことにはなるけれど、
退職に至った理由を明確に説明し、さらにその経験を踏まえた発言を加えることで採用担当者により納得感を示せることはできる」と思えるようになりました。
ここでのポイントは、
・退職理由を簡潔に分かりやすく相手に伝わるように整理しておく
・自身の反省を踏まえて今後に生かしたいという思いを伝える
ということになります。
こうした点を踏まえた退職理由の回答例を2つ紹介します。
最初は退職理由をうまく説明できませんでしたが、退職に至る経緯をヒアリングして分かりやすく整理して、本人にも納得してもらったことで、面接練習でも理路整然と退職理由を説明できるようになりました。
新卒で工場作業員に就職したAさんの場合
私が高校を卒業して最初に入社した工場の製造部門ではライン機械の故障が度々発生していました。
入社してまだ日が浅く自分で機械を直す能力がなかったため、故障の都度、自分の指導担当の先輩に頼まざるをえませんでした。
指導担当の先輩が不在の場合は他の先輩に頼んでいましたが、これは他の先輩の作業を中断させることになり次第に断られることが続き、機械が停止したときに指導担当の先輩が不在の場合は、立ちすくむしかありませんでした。
このような状況が続き、ストレスと無力感からわずか3ヶ月で退職せざるを得なくなりました。
今振り返ると、自分からもっと積極的に周りと関われるように心掛けていれば状況も変わっていたかもしれないと反省しました。今後はその反省を活かして新しい職場では積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思っています。
経験のある経理事務職に再就職したBさんの場合
私は経理事務の担当としてある会社の支部に採用されました。
しかし、退職した前任者からの引継ぎが職場でほとんど行われておらず、周りには経理業務内容を確認できる人が1人もいませんでした。
毎回、本部に問い合わせをし指示を仰ぐ必要があり、ミスを許されない業務に強烈なプレッシャーがかかりました。
経理業務の性格上、ミスを犯すことは許されず、強いプレッシャーの中で仕事を続けることができなくなり職場を短期間で退社しました。
入社の前にもう少し職場の情報を確認しておけばよかったのかという思いもありますが、一方で自分一人で抱え込むこともあり、もっと周りに相談するなりの努力が必要だったのではないかという思いもあります。
前職の問題やそれに対する自身の努力不足を認めた上で、今後の成長への意欲をアピールしましょう。
反省を踏まえながら、前向きな姿勢をアピールすることです。
そのために、言葉選びや表現に気をつけ、正直かつポジティブな説明が面接の印象を大きく左右するということです。
4-2.転職回数が多い場合
たくさんの転職経験がある場合、履歴書の「職歴欄」に退職理由を簡潔に書いておくと、面接の際に自分の経歴を説明しやすくなります。
その際、退職理由を書かないという判断もありえますが、入社・退社の記載が職歴に多く続いているとあまり良い印象とはいえません。
また、退職理由を書く場合でも、退職の理由を全て「一身上の都合」と書くのはあまり得策ではありません。
例えば、家庭の事情、会社の状況変化、職業的成長、自己成長などといった理由を簡潔に記述します。
簡潔でありながらも受け入れられやすい表現にすることが大切です。
例えば、
と、「一身上の都合により退職」とでは面接官の印象が違ってきます。
4-3.短期間で退職した場合
例えば入社3ヶ月で退職、あるいは一週間で退職など、どう説明するか悩ましい場合があります。
面接担当者からすると、
- 退職せざるを得ない何か事情があったのか
- あるいはただ堪え性がないのか
ぜひ確認したいところです。高い確率で理由を聞かれるでしょう。
この場合は、先に述べたようにまず正直に退職理由を説明することを考えてみましょう。
抽象的な理由ではなく具体的な事実や出来事を説明し、、具体的な要因を示すことが大切です。
また、場合によって自らの非も認めるというスタンスも好感を持たれやすいでしょう。
それぞれ、退職理由を聞いていると退職はやむを得なかったというようにも捉えられます。
一方で、この経験の中で、自分の努力が至らなかった点も述べられると面接の印象も変わってくるかと思われます。
5.退職理由だけで採否は決まらない
最終的な面接の評価は、外見や話し方、質問に対する答えを含めて全体的な印象で決まります。
適切な言葉選びと誠実さが大切です。
あなた自身の言葉で率直に説明することができれば、採用担当者に好印象を与えることができます。
自分の経験から得た教訓や成長を強調し、これからの新しい職場での貢献意欲をアピールすることが大切です。
退職理由を自信を持って説明するために
自分が成長するために退職した人にとって、職業訓練を受講することは、再就職の面接で退職理由について自信を持って説明できるようになる一つの選択肢です。
このように職業訓練を受講によって再就職の面接での質問に対しても自信を持って答えることが可能です。
まとめ:
退職理由だけで採否が決まるわけではありません。あくまでトータルの評価の中の一つです。
とは言っても面接の中で退職理由はとても大切なポイントです。
しかし、事前に退職理由の答え方を用意しておく人って意外と少ないです。
自己分析、ポジティブな言葉選び、具体的な例を活用し、自信を持って面接に臨む準備をしましょう。
参考に、具体的な退職理由の回答例を以下に紹介します。
好印象を与えるための回答例
1.前向きな理由の回答例
1.前職で私は工場での製造スタッフとして従事していました。
この状況から学ぶことも多く、製造工程の理解と効率化、チームとの協力や厳格な時間管理のスキルも向上しました。
しかし、その工場の生産ラインは一本化され、同じ作業を繰り返し行うことが多かったため、モノづくりの専門職という未来像をイメージできませんでした。
したがって、新たな挑戦と成長の機会を求め、転職を決断しました。
2.前職では医療事務員のパートタイムで働いており、子育てに適した柔軟なスケジュールで感謝しています。
子育てが落ち着いた今、フルタイムで働くことが可能となり、正社員として新たなキャリアを構築したいと思い、退職を決断しました。
前職での経験と学びで自分自身成長できたことに感謝しながら、新しい職場でもこの経験を生かし貢献できるように臨みたいです。
3.これまで派遣社員として働くことで、異なる職場で多くの貴重な経験を積むことができました。
また、さまざまな企業風土を知るとともに、多くの人間関係を経験する中で組織で働く上でのコツも学びました。
しかし、これからは長く働いていくために正社員としての就職を考え退職しました。
正社員として長く働くことができれば、色々な職場経験も生かしながら、その職場に合った経験も重ねていくことで持続的に組織に貢献できると考えました。
2.やむを得ない理由の回答例
前職での退職は、重量物の扱いが主な要因でした。
具体的には、重い荷物の運搬作業が体に負担をかけ、同じ仕事を続けることが厳しくなりました。
今は状態が安定し、同じような仕事は難しいものの、新しい職場で前向きな姿勢で全力を尽くせることを楽しみにしています。
前職での退職は、通勤距離と不規則な勤務時間が主な要因でした。
毎日2時間以上の通勤と3交代勤務時間により、家族との時間が限られ、特に子供の成長に伴う送迎や大切な瞬間を共有する機会を逃していました。
この状況が精神的な健康にも悪影響を与え、前職に惜しまれつつ退職せざるを得ませんでした。
現在は、仕事と家庭のバランスがとれた職場での労働環境を求め、前向きな姿勢を持っています。
新型コロナウイルスの影響で、看護師としての業務が非常に逼迫し、その結果、体調不良と精神的な負担が増加し家庭との両立が難しくなりました。
これらのことから、退職を決断せざるを得ませんでしたが、看護師としての経験から人々に対する思いやりとケアの大切さを学ぶことができました。
この経験を生かし、今は障害施設の支援員としての新たなキャリアに挑戦し、人々の役に立てることを楽しみにしています。
前職での退職は、介護職での仕事で収入が増える可能性がある夜勤がある反面、家族の世話、家事、子どもの世話と体力的な厳しさが主な理由でした。
介護職は私にとって充実感をもたらす素晴らしい仕事でしたが、夜間の労働が体力的な負担とストレスを増大させ、日中の生活に影響を及ぼし、子供の世話、家事をまかなうことが難しくなりました。
この経験から、昼勤の介護職に転職し、仕事と家庭の調和を取るよう考えています。
3.前職に批判的な理由の回答例
以前の職場では、製造現場において組織のトップ層と現場の仕事に対する意識に微妙な違いがありました。
現場は現状維持でよいという雰囲気があり、それは製品の品質向上や作業効率の向上によって残業代が減ってしまうという側面も影響していました。
私は、現場の課題を積極的に改善しようとし、一部の同僚と協力しながら問題に取り組みましたが、現場内での支持を得るのが難しい状況でした。
上司や現場内のスタッフともう少しコミュニケーションを取って進めていくべきだったという反省はありますが、今は新しい環境で前向きにモノづくりの職人として頑張りたいと考えています。
4.短期間で退職した場合の回答例
前職では、介護事務の職種で雇用されるはずでしたが、介護の資格もあったことから実際には日常的に介護職の業務を担当することが求められました。
さらに、腰痛の問題が私にとって現実的な制約であり、介護職の体力的な面で難しかったことも理由の一つでした。
希望していた職種ではないうえ、患者様への最善のケアを提供できず、職場にも迷惑をかけることにつながると感じたため、転職を決断しました。